先日、自治体が認知症を理由に自治体が成年を後見したことを、取り消しを求めて闘ったと記事にUPされていました。
認知症の方の日常生活をサポートするためには、生活環境を整えることが欠かせませんので、安心して過ごせる環境を提供するために、自治体側が配慮した……という状況だとは思われるのですが、それが裏目に出てしまった感じでしょうか。
おそらくは、自治体と男性の方との意思疎通がしっかりされていなかった事が原因なのではと思いますが、結果、男性は自治体側に不信感を持ってしまったのでしょう。
実際、記事にはこんな男性の発言があります。
「世間並みのことを頼んでも『こういう制度だからどうしようもない』と言われる。私の気持ちは全然考慮してくれなかった」
また、この方には60代の長男がいらっしゃるのですが、記事には『自治体側は男性の認知機能が低下してきたとみて、男性と障害のある長男の暮らしを安定させる目的で後見を申し立てた』とありますが、92歳の男性が助けを求めた家族の会の代表の石井氏によると『普通に話をできていて後見が必要な人とは思えなかった』とコメントしており、この辺りは状況を直接見てはいないので軽はずみな発言は出来ないんですが、今後の社会の在り方を考える上で、色々と考える必要があった一件だったと個人的には思います。
認知症は、周りの人々にとっても本人にとっても大きな負担となる疾患ですので、そのため、私たちは思いやりを持ち、理解を示す必要があるのですが、今回のは双方のコミュニケーションが不足してしまった結果だと思われます。
認知症と言う側面だけで見ずに、後見人が必要か否かを男性の話を聞いて判断能力の有無を判定すべき、だとは思うのですがそれを行政側に色々な業務をこなしながらとなると、これまた難しそうな印象ではあるのですが、しかし、現実問題としてこういう具合に、本人が求めていないのに障害を持っている60代の息子さんと引き離されるような不安を感じたともあります。
男性はご高齢ですが、石井氏の発言から判断すると十分に判断能力はありそうで、そうした後見人制度は必要としていない可能性が高そうです。
後見人の必要性の有無を自治体が適切に判断出来るのかが、大切な要素となるのでしょうが、そのシステムの再構築が求められます。
認知症の方が自立できる範囲を尊重し、可能な限り自分で行動できるようにサポートすることが重要で、簡単な家事や選択を任せることで、自己肯定感を高めることができ、日常生活の充実感を得ることができるのですが……うーむ(-_-;)
そもそも、成年後見制度は本人の権限を後見人に移譲してしまう制度なので、今回の92歳の男性に適用するにはちょいと妥当性を欠くものだったのではないか、というのが正直な感想ですね。
これ、成年高精度の中間にあたる『日常生活自立支援事業』という制度が存在するんです。
自治体にある社会福祉協議会の日常生活自立支援事業は、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が十分でない人が、地域で安心して生活できるように支える制度なんですが、これは本人と契約し、以下の援助内容の①を中心に、必要に応じて②、③を生活支援員・専門員が担当するシステムになっています。
で、その具体的な援助内容は以下の通り。
① 福祉サービス利用時の手続きなどを行う。1回1時間につき1000円。
② 公共料金の支払い、生活費の引き出しなどを代行する金銭管理サービス。通帳は本人が保管する場合は1回1時間につき1000円。通帳を社協が預かる場合は1回1時間につき2500円になります。
③ 貯金通帳など大切な書類を預かるサービスで、1カ月に1000円。
これらの他にも、別料金で年金証書なども預かってくれます(なお、金額については各市区町村によって異なります)。
このサービスを利用するためには、本人が社会福祉協議会と契約をしますが、認知症などの症状が進んで本人との契約が難しいと判断されると、「成年後見制度」が利用できるように手助けしてくれる、という構造になっているんですよね。
こういう感じで、出来るのであればこちらは自立支援に徹します、というようないい制度があるんですけど、そういった内容の記事はどこにも出てなくて、むしろヤフーのコメント欄に似たようなことを書かれていた方がおりました。
マスコミの記者さんも多分知らないから記事にされていないと思うんですが、こういう案件は地域の社会福祉協議会にご相談されるのが良いと思います。
実際、認知症の方への接し方やサポート方法を学ぶことは、周囲の人々の理解を深め、より良い関係を築くために不可欠です。
NG行動を避け、思いやりを持って接することで、認知症の方の生活の質を向上させることができます。
しかし、今回のように『自分で出来る!』と仰っている方の意思を無視する形で後見制度を用いるのは、コミュニケーションの不足が招いてしまった結果だと思われます。
ですので、コミュニケーションの改善を通じて、認知症の方がより安心して生活できる環境を整えることはやはり重要な要素なのでしょう。
私たち一人ひとりが認知症について理解を深め、適切な接し方を実践することで、認知症の方々の人間性と尊厳、自立を尊重することができます。
これにより、彼らの心に寄り添う存在となり、充実した生涯を送る手助けができる、ということを忘れないよう、この一件を該当の自治体は教訓として貰いたいと思いますし、私も気を付けて生活していこうと思った次第です。
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