認知能力、判断能力が低下した時に財産を守る法制度は『法定後見』『任意後見』の成年後見制度については、これまでの後見の記事でまとめてきた通りです。
成年後見制度をわかりやすく説明 | 40代アラフォーからはじめる終活
ですがこれらの他に、もう一つ『家族信託』という制度がありますのでこの記事でまとめていきたいと思いますm(_ _)m
家族信託は財産管理方法の一つ。
前もって金銭や不動産などの財産を信頼できる家族に託すことで、その管理や処分などを任せることができる制度です。
財産のなかで、家族信託を使い管理したい財産を「信託財産」といい、金融商品だけではなく、不動産も含めて管理、財産処分を行うことができます。
財産を預けたい自分が『委託者』になり、財産を預かり管理や処分をする子どもが『受託者』に該当します。
財産から得られる利益を受け取れる自分、またはほかの家族が『受益者』となり、委託者と受託者が書面を交わします。
こうやって書いていると成年後見制度となんか被るところがあるように思えるんですが、違う部分もちゃんとあります。
まず、家庭裁判所に提出する書類がありません。
なので財産の管理がしやすいです。
家族信託契約書を作成してもらう専門家への報酬は必要ではありますが、後見が始まってから本人がお亡くなりになるまで、毎月、数万円かかる後見人、また後見監督人への報酬が不要であるというメリットが存在します。
こうしてみると、認知症などで判断能力が著しく落ちていなければ、家族信託も検討すべき一つの手段かと思います。
ちなみに家族信託を利用するための手続きの手順は、
① 資産がどれだけあて、何に使用したいのか、その目的を明らかにする
② 相続に詳しい司法書士や行政書士などの専門家に相談して、どの程度の費用が必要になるのか見積りをとる。
③ 依頼を受けた専門家は、信託内容を契約書にする。専用の口座開設が必要な時は、専門家と受託者が一緒に金融機関に出向き、後日、委託者と受託者が専門家とともに公証役場に行って、契約書の作成を行う
というようになります。
ただ、これはやはり判断能力が落ちてきてしまった人のための制度。
まだまだ判断能力がしっかりしている段階の私から見れば『えー、面倒くさい』と思える手続きが、認知症などで判断能力が落ちてしまっている人にとっては必要であろうことは、現在の私でも想像できます。
認知症になっても自分や家族が安心して暮らせるように、さらに、亡くなったあとも自分の財産を自分の思い通りに親族に渡すことができるように、家族信託を選択するというケースは普通にありそうですし、私は独り身ですが財産を分与することとか考えるのならこれは一つの方法として検討するかもしれません。
ただ、良い点ばかりなのかと言うと、やはり気を付けたいデメリットもあります。
成年後見制度のように、成年後見人や監督人に毎月支払う費用は不要です。
毎月支払う費用は不要なんですが、契約書を作成する専門家への手数料は結構かかります。
手数料の相場は信託する財産の1%と言われていますが、いくら何でも高くない? と思って3件調べてみました。
A弁護士さんのHPを見てみたら、家族信託を弁護士にご依頼されると、財産が1億円以下の場合、30万円から100万円程度が費用の相場となるかと思われます、なんて言葉があったのでそう間違った計算ではなさそう。
B弁護士さんのHPでは、自分で手続きをする場合は20万、専門家に依頼した場合は30~100万円程度となっており、こちらもそんな違いはなさそう。
C弁護士のHPでは家族信託の費用は、数十万円〜100万円くらいが相場となります、とだけあって財産全体の額がそもそもない……ort
とにかく、数十万~100万円が相場ってことは確認出来ましたが、高額な手数料を取る専門家もいる、ということを頭の片隅に置いておいて下さい。
ですので、初回相談無料のところとか、リーズナブルなところ、あとは評判がよろしい専門家を探してみると良いでしょう。
また、信託財産は相続財産ではないので、信託財産と相続財産の割合や内容によっては、親族間トラブルに発展する危険性も存在します。
財産を巡ってのトラブルともなれば骨肉の争いになることも有り得ますし、ヒドイことになってくるとそれこそ財産を巡って犯罪に手を染める方も出てきてしまいますしね(-_-;)
そういった事態にならぬよう、両方の対策を同時に考えてくれる専門家を選ぶことが重要でしょう。
死後のことを含めてどうしたいのか、法定相続人になる家族と話し合うと、後顧の憂いを断つことが出来ます。
あなたの大事な財産と家族を守るためですので、人によっては中々に頭が痛い問題だとは思いますが、後回しにしても時間が過ぎるだけ、という事も十分に有り得ます。
現在は大丈夫でも、加齢と共に判断能力もどうしても低下していってしまいます。
認知症の症状が出てきてしまうと、この辺りの判断能力はかなりあやふやになってしまうでしょうから、症状が出てくる前には決断したいところです。
何せ、認知症の症状が出てきてしまうと資産凍結、という事態に陥り、不動産の売却や生前の贈与が出来なくなってしまい、そもそも終活がストップしてしまう事態が考えられますし、最悪、日々の生活のために必要な預金の引き出しも不自由になってしまいます。
判断能力がまだしっかりしているうちにしっかり検討し、後悔のないようにしましょう。
判断能力が低下してからでは遅い……と言いたいところなんですが、そもそも判断能力が低下してきているという基準は、高齢の人はどうやって判断しているんだろうと今更ながらに疑問に思いました(-_-;)
その辺は後日の宿題にさせて頂きたいと思いますm(_ _)m
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