任意後見人と成年後見人の違い

終活

家族や身近な人が高齢になったり、障害を抱えたりした場合、その人の法的な援助を必要とすることがあります。

このような状況で重要な役割を果たすのが後見人ですが、任意後見人と成年後見人にはどのような違いがあるのでしょうか?

まず、任意後見人とは本人が自分の判断能力が低下した場合に備えて、自分で選んだ後見人のことを指します。

これは、事前に任意後見契約を結ぶことによって成立し、本人の意思を尊重した形で法律的な支援を受けることができます。

任意後見人は、本人が具体的に誰にどのような権限を与えるかを決めることができるため、柔軟性が高いのが特徴です。

例えば、信頼できる家族や友人を選ぶことで、より安心感を持って生活を続けることができるでしょう。
この制度は、成年後見制度が施行される前から存在しており、特に高齢者や障害を持つ方々にとって重要な役割を果たします。

任意後見人は、本人の生活に密接に関与し、日常的な生活支援から財産管理まで多岐にわたる業務を担います。
本人が選んだ後見人がその人の生活を支えることで、より良い生活環境を提供できるのです。

また、任意後見人は、任意後見契約を結んだ時点での本人の意思が反映されるため、本人が希望する生活スタイルや価値観を尊重することができます。

こうした点が、任意後見人制度の大きな魅力であり、より個別的な支援が可能になる要因となります。

では、もう一方の成年後見人はどのような後見をするのでしょうか?

成年後見人とは、法的手続きを経て、裁判所によって任命された後見人のことを指します。

この制度は、本人が判断能力を喪失した場合や著しく低下した場合に、財産や生活に関する支援を行うことを目的としています。

成年後見人は、本人の権利を守り、必要な支援を提供するために設けられた制度であり、法的な保護が強く求められる状況において重要な役割を果たします。

成年後見人には、法定後見人と任意後見人があり、法定後見人は、家庭裁判所により任命されるため、法的な権限を持ちます。

成年後見人は、本人の生活全般にわたる支援を行い、財産管理や医療に関する決定、日常生活の支援など、多岐にわたる業務を行います。

法律に基づく判断が求められるため、後見人には専門的な知識や経験が必要となることもあります。

この制度は、特に高齢者や障害者にとって、自己決定権が制限される可能性が高い状況において、法的な支援を受けるための重要な手段です。
成年後見人の役割は、本人の権利を守るだけでなく、その人がより良い生活を送るためのサポートを行うことにもあります。

任意後見人と成年後見人の最大の違いは、後見人の選任方法とその権限にあります。

任意後見人は、本人が自分の希望に基づいて選ぶことができるのに対し、成年後見人は家庭裁判所によって任命され、法的な手続きが必要です。

つまり、任意後見人は本人の意思を尊重した形で選ばれるのに対して、成年後見人は法的な観点から必要とされる支援を提供するために指定される存在です。

また、権限の範囲も異なります。

任意後見人は、本人が契約で定めた範囲内で権限を行使しますが、成年後見人は裁判所の判断に基づいて、必要に応じて広範な権限を持つことができます。

このため、成年後見人が行うことのできる業務は、時には本人の意思を超えることもあり得ます。

さらに、後見人の責任も異なります。

任意後見人は、本人との信頼関係に基づいて行動するため、本人の意思を尊重することが求められます。

一方、成年後見人は、法律に基づく責任を負うため、本人の最善の利益を考えた行動が求められます。

このように、任意後見人と成年後見人は、それぞれ異なる役割を持ち、状況に応じて適切な選択をすることが重要です。

ちなみに先日の記事で問題になったのは成年後見制度。

92歳の男性が、男性の認知症を理由とした自治体による後見申し立てが家庭裁判所に認められた後に、この後見申し立ての取り消しを求めて法廷で争われた件ですね。

自治体は医師の診断書を提出し、後見を申し立てた結果、4カ月後に家裁が後見開始を決定。

選任された成年後見人が通帳などを管理するようになった、という経緯があったこの件も成年後見人です。

どちらが良い悪い、というものではなく、ケースバイケースでその人によりフィットした制度で対応していくべき、という観点からすると、先日書いた記事でも述べているのですが、そもそも後見制度ではなく、日常生活自立支援事業が適切だったのではないか、とも思うんですげ、この話をしていると際限なく本題から話題が逸れていってしまうので、この辺りで話を戻します。

で、任意後見人と成年後見人ですが、いずれの後見人も理由なく辞退することはできません。

後見人が遠隔地への転勤などで後見が物理的に難しくなる、後見人が病気で療養が必要などの正当な理由が家庭裁判所で認められない限り辞退は出来ないのです。

ですので、後見人を考えるときは家族間でのしっかりとした話し合いが必要でしょう。

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